03/05/2026
最近の僕は、乳酸菌という名の「気まぐれな神様」に、すっかり振り回されていました。
うちのリコッタ作りは、シチリアで教わった伝統的なスタイル。ホエイをじっくり発酵させて、その過程で生まれる「酸の力」で固めるんです。
これがもう、信じられないくらい繊細な世界。
発酵させすぎれば、リコッタはたくさん取れるけれど、味はトゲっとして食感ももっそり。
逆に甘やかして発酵が足りないと、今度はゆるゆるのままで、形にすらなってくれない。
彼女たちが最高に輝く「スイートスポット」は、pHにして 6.0から 6.2の間。
わずか 0.2 という、針の穴を通すような狭い隙間に、僕が追い求める「あの甘さ」が隠れています。
ところが、どんなに精密な pH計を使って計測しても、どうしても 0.1 くらいの「誤差」は出てしまうもの。
数値が「6.1」と表示されても、心の中ではもう一人の自分が囁きます。
「これ、本当は 6.3 なのかも? それとも 6.0に片足突っ込んでる?」
最近、原料にちょっとしたブレがあったことで、この一ヶ月ほどあまり浮き上がってこなくて、注文いただいた数ギリギリのヒリヒリする日々を過ごしました。
安定的に確実に固める方法は知っています。
はじめから凝固剤を多めに入れ、発酵を突き進めてしまえばいい。
でも、僕が届けたいのは、その崖っぷちのような境界線にだけ宿る『美味しさの核心』なんです
舌で感じる甘みが変化していく瞬間。
それを捉えること。
これこそが根幹。
ある意味でバカなことをやっている。
だからこそその感覚の大事さを、このところの揺らぎで再認識
そんな葛藤の末に、今週はようやく「これだ!」というタイミングをつかみ、お客様にお出しできる数のリコッタを確保できました。
とりあえずホッとひと息。
さ�