21/08/2026
【悲報】調子に乗って「地球を掘る」と言い出した男、さっそく自然の洗礼を受ける話④
(前回までのあらすじ:16年前に掘った「湿った防空壕」が、育った木々のおかげで奇跡の天然クーラーに進化していることを発見。職人16年目、男は意気揚々と地下熟成庫リベンジを宣言しました。)
……さて。
「地球の力を借りて、理想の熟成庫を復活させるぞ!」
と息巻いたのはいいものの、着工初日にして致命的な現実に直面しました。
私、本業のチーズ作りで週に1〜2時間しか現場作業ができません。
当たり前です。チーズは待ってくれません。
このままでは熟成庫ができる前に、私自身が先に熟成(老化)してしまいます。
そこで私は、迷わず助っ人を要請しました。
何でも屋の池田さんと、我が父です。
ほぼ丸投げ!とも言える体制を整え、まずは16年の歳月で草木に覆われていたコンクリート室を片付けて清掃する作業からスタートしてもらいました。
ここまでは順調でした。
しかし、本当の戦いは「水洗い」の後に待っていたのです。
作業のために内壁を水洗いしたため、次はしっかり「乾燥」させる必要があります。
……のはずが。
部屋の中が天然の冷蔵庫のように冷えているため、人が出入りして外気が入り込むたびに、
壁という壁が、猛烈に結露する。
乾かすどころの話ではありません。
雑巾で拭きまくっても、除湿機を全力稼働させても、外気との温度差で無限に水滴が湧き出してくるのです。
「あかん……物理の法則には勝てん……!」
この強烈な湿度を前にして、当初予定していた「床に木材を張る計画」は一瞬でボツになりました。即座にカビの温床になる未来しか見えません。
そこで急遽、設計変更。
父の倉庫をひっくり返し、奇跡的に転がっていた頑丈なゴム製部材を床材として再利用することにしました。
しかし、試練はこれだけでは終わりませんでした。
最大の敵は、地下の湿気だけではなく「世界情勢」だったのです。
中東情勢の緊迫による原料不足の余波が、なぜか日本の山奥にある私のDIY熟成庫計画を直撃しました。
必要な建築資材が、どこを見ても売り切れ。
夜なべをして、紙とペンを走らせて「これならいける!」と渾身の施工プランを練り上げる。
↓
いざ買おうとすると「在庫なし」か「ごく少量(全然足りない)」。
↓
プラン崩壊。別の材料で一から再設計。
↓
夜なべして図面を引き直す。
↓
また売り切れ。
この無限ループです。
昼はチーズと格闘し、夜はスマホの画面と紙とペンを睨みつけながらため息をつく日々。
数週間にわたり、あちこちの業者や店舗に問い合わせをかけ続け、泥臭く資材をかき集めました。
(※代替品を探すたびに予算が想定を軽々と超えていった気もしますが、総額いくらになったのかは、この際考えないことに、、します。)
かくして、父の倉庫から発掘したゴムマット、
池田さんと父の奮闘、
そして夜なべと執念で手に入れた貴重な資材たち——
ようやく、役者は揃いました。
次回、ついに本格施工編となります。多分!
現場からは以上です!
一枚目は熟成庫が出来た暁には仕込もうと考えている真庭のビールで洗った熟成チーズ
二枚目は洗った後の熟成庫