愛媛の里山、海抜100mほどの祖父の残した畑を中心に、自然農法で野菜、果物を栽培、製品化して販売しています。地球環境に優しく、食べて美味しい体が喜ぶ農業を志しています。そして今、やっと菊芋を中心にその製品化、販売で自然農法営農の可能性を具現化しています。
父の他界後、2009年に東京から愛媛に帰郷し、福岡正信さんの自然農法を手本に農業を始めました。色々な農業技術を試し、色々な野菜、ハーブ、果物、作物を栽培して来ましたがどれも営農的には上手くいきませんでした。しかし、やっと中心となる野菜、菊芋の無農薬無肥料不耕起栽培にたどり着きました。地元の自然農法の大先輩の「捨てるものは無いんよ。」に感化され、お知恵をお借りしながらそれらの野菜、ハーブ、果物の製品化、販売に努力する日々を送っています。
「乾燥 菊芋の葉 お茶」
「菊芋のらっきょ酢漬け」
「焙煎 菊芋チップス」
「筍の水煮」
「乾燥山菜」
などなど試作、模索中です。
菊芋は、まだスーパーや八百屋さんには並ばない、あまり一般的ではない根菜です。それでもここ数年、インターネット上では時々見かける様になりました。テレビでも健康番組で取り上げられたりして、二人に一人程度はご存知の様です。「聞いたことありますね。」と言う方も増えてきました。ネットで見かける菊芋も、他の野菜と同じく農薬や化学肥料が使われています。強い野菜なので何もしなくても育つのですが、沢山収穫したいからなのでしょう、そうなっているようです。そのせいでしょうか、病気や連作障害なども出ている様です。2010年から栽培していますが、私の畑では連作でもあり、除草もせず耕しもせず無肥料です。全く何もしないで収穫し続けています。とてもとても強く、葛のツルにも負けずに育ち健康で美味しい芋が採れています。
一人になった老いた母を見過ごせずの帰郷は、生まれたばかりの子連れUターンでした。経験のない農業。更に輪を掛けて難しい自然農法です。今から考えてみても無謀なチャレンジでした。
有吉佐和子さんの「複合汚染」
レイチェル・カーソンさんの「沈黙の春」
などの影響もありましたが、
アールゴアさんの「不都合な真実」
のDVDの映像や具体的な数字に衝撃を受けての就農でした。進むか辞めるかの農業でした。農薬を使い、環境汚染の肥料を使うくらいなら離農する覚悟でした。しかし、状況は非常に厳しいものでした。田舎では、野菜はおじいちゃんや親戚、近所から頂けるもので、地元の家は、殆ど一般的な野菜を購入することはありません。産直での販売も年金暮らしの方達と値段を競わなければなりません。ほぼ諦め掛けていました。専業農業は出来ず、手作り豆腐を作り販売してみたり、マルシェでこだわりの食事を販売したりしていました。
2010年に近所の方が乾燥している菊芋をみて、
「これはなんですか。」
「糖尿じゃけんな、菊芋を作って食べよんよ。そこに捨ててある小さい芋で出来るけん植えてみな。」
その整理して捨ててある小さな菊芋を30個ほど頂いて栽培を始めたのが最初でした。ある年の夏、38日間雨が降りませんでした。私の畑には水を引き込む水戸口がありません。未完成な自然農法のそんな畑で育つのは、サツマイモくらいしかない事に気付き始めていました。それまでは、水を汲んできては散水していましたが、その年は、そんな無駄な抵抗もしませんでした。サツマイモは半分ほど枯れかかりました。菊芋もダメージを受けていました。
「もう、農業も潮時かな。」そう思い始めていました。
手を入れる事は厭わないのですが、手を入れても思ったほど売れないのですから戦意はすっかり喪失していました。菊芋は、何もしないでも育ち、そこそこ売れ始めてもいたので期待はしていたのです。
「これは、流石の菊芋も駄目だろうな。」と、がっかりしたくないので自分を慰める意味で心の準備だけはしていました。
そして、11月の初め頃、力なく掘ってみました。なんとしっかり綺麗な芋が出来ているではありませんか。その年は、またやる気を持ち直した事をよく覚えています。
「あんた村上さん?」
自然農法の大先輩が朝市に訪ねて来てくれたのもその年でした。
「フランス菊芋作りよるだろ。」
フランス菊芋は、少し赤味のある菊芋の仲間です。以前問い合わせがあり、少し作り始めていました。最近では、ガン細胞を抑制させるとかで知られつつありますが、菊芋よりも甘みの少ない形のいい菊芋です。それからは、その大先輩とは、しばしば会い話をする様になりました。そして、その大先輩の考えが、忘れかけていた何かを思い出させてくれたように感じ始めていました。
「ええ事しよんじゃけんな、辞めんでちゃんと農業で食べられる様になってな。」
元食品加工会社の重役をされていたその大先輩は、農産物の加工にはとても詳しく、
「あれも出来る。これも出来る。」
「あれ作ったらええ。これ作ったらええ。」
山を指差して、
「この辺みんな宝の山じゃけんな。」
と、あたりまえのその辺の山に向かって言い放ちました。それは慣行農法ではあり得ない自然農法ならではの営農方法のヒントのお話しでした。それをいくつもいくつも会うたびに伝授してくれたんでした。実は、就農前に同じような事を考えてはいたんです。ただ、周りの環境に染まり掛け、それらの方法論、資金活用の優先順位などがデタラメになり、実現不可能な遠い絵空事の様になってしまっていました。
2017年頃から、自然農法の営農のあるべき姿を模索し、営農の計画を練り直し始めました。出来る事。出来てもお金のかかる事。出来ないこと。やらないこと。そして、どうやって少ない資金でそれが具現化できるか。どう製品化し、どう販売するかなど、具体的に新たな自然農法の営農方法を描き始めました。これからも挫折もあるかもしれませんが、地道に少しづつ進めていきます。
地球環境が心配です。
子供達の体が心配です。
そのどちらも、言い過ぎかも知れませんが、多くは自然農法、環境保全型農業の営農の広がに掛かっていると考えています。もし、これを最期まで読まれた農業者の方がいらしたら、今一度農業のあり方について考え直してみてください。また、これから自然農法、自然栽培など環境保全型農業で営農を始められる方は、その重要性を新たに認識して下さい。また、一度ご連絡下さい。もしかしたらいくつかヒントをバトンタッチ出来るかも知れません。
最後まで読んで頂きありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。
ラヴェスト・ファーム 村上 誠